「少子高齢化社会」の現実とその対応 3
前回の今週の一言から、諸般の事情により、約3カ月が過ぎたことをお詫び申し上げます。前回は、不動産の二極分化、なかんずく賃貸物件の二極分化が今後急速に進展することを、説明してまいりました。
弊社の作成している、個別駅の賃貸物件空室調査によれば、最寄り駅からの距離については、年々短くなっており、東京都内23区でも徒歩10分を超える物件の空室が増えています。また、建物も、構造に関わらず、築20年を超える物件の空室率は、極端に高くなる傾向があります。昨今の様に、相続対策で賃貸物件を購入したり、新築したりする傾向は今後も、一定期間続くものと思われ、物件の供給過剰は当面続くものと考えられ、築が古い物件は、敬遠される傾向に御座います。
現在の新築建物は、構造の違いにも関わらず実質40年から50年の耐用がございますが、これは建物としての物理的なものであり(これを私は、建物の「物理的陳腐化」と定義しています。)これに対して、建物の設備や間取り等は、毎年進化がすすんでおり(これを私は、建物の「文化的陳腐化」と定義しております。)、築後20年が現状の限界点と考えられます。
即ち、賃貸住宅の建物は、物理的には何ら支障はないのに、文化的陳腐化により、賃貸市場から脱落していくものと考えられます。総合して、賃貸経営的には、その立地にもよりますが、建築後20年で回収できない物件に手を出すべきではないというのが、私の結論です。
今後、賃貸住宅の新築、購入をお考えなら、是非このテーマも基準の中に入れて検討されることをお勧め致します。何故なら、借入金で賃貸物件を購入した場合で、30年ローンを組んだ場合、築後20年過ぎから、空室問題を抱えながらの借入金の返済という事態に向き合わなければならず、最悪の場合、借金返済のため、売却も考慮しなければならなくなるからです。
以上